Semilla's Project(日本語翻訳版)

COLOMBIA

【Monkaaba】

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Projects/Cafe Colis Resistansia

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2018年、SemillaのBrendanはウィラ県サン・アグスティンの若き生産者エスナイデル・オルテガ・ゴメスと出会い、ウイラ南部からトリマにかけて2週間共に旅をした。

この旅以来、彼らは強い友情を育み、コロンビアや世界中の小規模農家にとってのスペシャルティコーヒーの現状について、深い会話を何度も交わした。

“History Doesn't Happen, It Is Made” ー 歴史は起こるものではなく、作られるものである。

Monkaabaは7つの小規模コーヒー農家によって設立された集産主義プロジェクトで、エスナイデル・オルテガ・ゴメスとディディエル・オルテガが日々組織を導いている。

元々、このプロジェクトは、サン アグスティン郊外にあるセビリア(セビージャ)、ベレダ地区のオルテガ・ゴメス家の自宅を拠点としていた。

オープンアクセスとコミュニティサポートの原則に基づき、彼らの家は収穫期間の毎週末、品質に関するレコメンドと公平かつ明確なフィードバックを提供する目的でサンプル焙煎とカッピングの機会を希望する小規模農家に無料で開放されていた。

Monkaabaプロジェクトは、Semillaが2020年に6軒の農家からコーヒーを購入した当初から、今では60軒の小規模コーヒー農家からなる緊密なネットワークへと発展した。彼らは皆、自分たちのコーヒーについてもっと知りたい、どうすれば改善できるのか、どうすれば強力で安定した関係をバイヤーと築けるのか、という関心に突き動かされている。

コロンビアはコーヒーの有名な生産国として知られている一方、国内ほとんどの小規模コーヒー農家がスペシャルティ市場(いわゆる“持続的に安定した価格を提供してくれる市場”)から締め出されている。この事実には、コーヒーをよく飲む人はもちろん、スペシャルティコーヒーの専門家でさえ驚くだろう。

実際、全国コーヒー生産者連合会(FNC)が発表した数字でさえ、コマーシャル市場以外で販売されているスペシャルティコーヒーはコロンビアの2%程度に過ぎない。

つまり、サン アグスティンはコーヒー生産の歴史も古く、FNCに最初に参加した生産地のひとつであるのにも関わらず、この地域の約6,000の生産者の大半は市場価格か市場価格の約半額で販売し続けているのである。

Monkaabaプロジェクトは、同じようなストーリーを持つ多くの小規模農家で構成されている。これらの生産者の約60%は35歳未満で、主に地元の "闇市場 "でウェットもしくはドライのパーチメントで販売されている。

残りの40%はスペシャルティ市場への参入を経験しているが、年単位での取引の保証や流通透明性、生産者への敬意があるわけではない。

エスナイデルをはじめ、アグスト・オルテガ、ダニエル・ムノス、ハイメ・ブルバーノといった名だたる生産者たちは、教育的な支援を通じて小規模農家の知識、品質、そして収益性を向上させる新しい仕組みを作りたいと考えていた。

エスナイデルから「このプロジェクトに同行しないか」と誘われたとき、私たちは迷わずサポートすることを決断した。

まるで非の打ちどころのないクオリティでコーヒーを生み出す生産者。彼らは適正な価格で取引してくれる堅実なバイヤーを必要としており、それを友人と協力しながらサポートしていく。まさにSemillaは、その使命を果たすために設立されたのだ。

エスナイデルは以前から、スペシャルティコーヒーの取引の機会(バイイング・ポイント)にコーヒーを持ち込む生産者の多くが、カッピングの点数だけを提示され「なぜその点数なのか」、またもっと重要なである「どうすればより改善できるのか」という議論点をほとんど何も話されず、なんのフィードバックもないまま拒絶反応を示されることを嘆いてきた。

Monkaabaの答えは簡単である ーサンプルを持ってきてもらい、ブラインドでカッピングを行う。クオリティの結果がどうであれ、生産者はその場でコメントを聞き、浮上した問題に対処するために必要なフィードバックを受けることができる。

 

“Building Alternatives”ー 代替案の構築

ある意味、生産者がコマーシャル市場に替わる市場を見つけるのに苦労した経験というのは、私たちの見方では「実はFNCによる『固定価格の保証』という名の“諸刃の剣の鋭利な刃”だ」、と捉えざるを得ない。

つまり、生産者がこの伝統的なコーヒー販売のシステムから一歩踏み出そうとする場合、生産上のコストをカバーできないような価格をこれまで受け取ってきた事実がそこにはあるため、生産者はおそらく覚悟も予想もしていないであろうあらゆる金銭的なリスクと向き合う必要になるということだ。

さらに難しいことに、小規模農家がある一定の所得を得るようになると、これまで補助的な支援として得てきた公的医療や教育を受けられなくなってしまう。その結果、コーヒーが書類手続きなしで販売される闇市場で売られることによって貧困が助長されてしまうのだ。

このことは2年前のブログでも紹介したが、今も同じパターンが見られる。多くの生産者はすべてのコスト、特に自分たちの労働投入量を考慮していないため、現地の市場価格で販売して損をしているという事実に気づいていないかもしれない。

ある意味、このシステムは自主性を認めない依存を生み出しており、私たちが生産者パートナーに望んでいることと全く正反対な事態なのである。たとえ生産者が自分たちのコストを把握したとしても、市場より高い価格で受け入れてくれる取引場面=バイイング・ポイントがなければ、生産者はこの低価格を受け入れ続けるしかないのである。

また、コロンビアのような国では、コーヒー栽培は質よりも量を生産するモノカルチャー作物として推進されており、これらの作物が失敗した場合のリスク管理戦略はゼロに等しい。

コロンビアのコーヒー生産国としての名声にもかかわらず、この名声を可能にした何千もの生産者が、最も権力を持つ者を富ませるために量を追求する国家産業のおかげで、生活苦にあえいでいる現状がここでもわかる。

実際、エスナイデルとの最近の会話の多くは、彼がコロンビアで見ている、職人気質な小規模コーヒー生産者をつぶそうとする厄介な風潮が中心となっている。

コロンビアのような流通形態では、スペシャルティ市場で成功を収める生産者は世代を超えた小規模生産者ではなく、他の小規模生産者からチェリーを購入する裕福な土地所有者であったり、高値で販売するための実験的なプロセスに従事する教育、予算、財政的柔軟性を持っていることがますます一般的になりつつある。

Credit : Semilla Coffee/Projects【Monkaaba】

Translated : Keisuke Matsumura

*This article is reprinted with permission of Semilla.

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